クロハネシロヒゲナガ

 畑で野菜の写真を撮っていたら、やたらと髭の長い変な虫を見つけました。とりあえず写真を撮って、あとで調べてみると、クロハネシロヒゲナガという昆虫だとわかりました。特段珍しい虫でもなく、結構あちこちで見かける虫のようです。その気になって探してみると、我が農場にもかなりいることがわかりましたが、今まで全然気づきませんでした。

 チョウ目(鱗翅目)ヒゲナガガ科の一種だそうです。ヒゲナガ蛾、つまり蛾の一種なんですね。もっともこのクロハネシロヒゲナガは最後の蛾の部分が省略されています。命名するときに付け忘れたのか、それともガガと連なると言いにくい、あるいは発音上美しくない、等々の理由があったのか、よくわかりません。

 写真で見たとおり髭が長いので、飛翔にはかなり制約を受けます。写真は草に止まっている時のものですが、飛んでいるときもほぼこれと同じ体勢で、体が立った状態でふわりふわりと飛んでいます。なんとも不思議な蛾です。

 そのくせ、なかなかじっとしていません。機敏に動き回る訳ではないのですが、小さい上に常にフワフワヒラヒラしているので、被写体としてはかなりの難物です。

 一見邪魔そうに見えるこの長い髭を、行動の制約を受けるというリスクをおかしてまで身につけたのも何か深い訳があるのでしょう。この髭、メスは短くてオスは長いことから、一説によるとメスのホルモンを嗅ぎ分けるために長くなったのではないかとのこと。進化の動機はやはり生殖にあるのですね。

ダイコンの花

人知れず
忘れられた茎に咲き
人知れず
こぼれ散り
細かな白い
だいこんの花(久弥)

 1970年代に放映されていたドラマ「だいこんの花」のオープニングに朗読される森繁久彌の詩です。ドラマの内容はよく覚えていませんが、ダイコンの花を見るといつもこの詩が蘇ります。

 畑の片隅で冬に掘り残されて放置されたダイコンが、いつしか花を咲かせている。「人知れず忘れられた」というのはそんな情景を表しているのでしょう。

 なんとなく地味で目立たない印象がありますが、まとまって咲いていると、かなりの存在感を示します。ダイコンはアブラナ科ダイコン属の植物ですので、菜の花の遠い親戚といったところでしょうか。ただ一般的な黄色い菜の花に比べると確かにどこか控えめです。

 遠目には真っ白に見えるその花も、近づいて見ると花びらの縁が薄っすらと紫がかっていて、上品な美しさを醸し出しています。小さなモンシロチョウのようにも見えますね。ダイコンの種類によって花びらの形や色が微妙に違います。

 ダイコンは食卓ではおなじみの根菜ですが、その葉も栄養豊富な緑菜です。でもお店で売られているダイコンには通常は葉が付いていません。もったいないですね。直売所などで葉付きダイコンを見かけたらラッキー。ぜひ買ってみてください。葉の部分はすぐに切り離して調理するのが秘訣です。