ダイコンの花

人知れず
忘れられた茎に咲き
人知れず
こぼれ散り
細かな白い
だいこんの花(久弥)

 1970年代に放映されていたドラマ「だいこんの花」のオープニングに朗読される森繁久彌の詩です。ドラマの内容はよく覚えていませんが、ダイコンの花を見るといつもこの詩が蘇ります。

 畑の片隅で冬に掘り残されて放置されたダイコンが、いつしか花を咲かせている。「人知れず忘れられた」というのはそんな情景を表しているのでしょう。

 なんとなく地味で目立たない印象がありますが、まとまって咲いていると、かなりの存在感を示します。ダイコンはアブラナ科ダイコン属の植物ですので、菜の花の遠い親戚といったところでしょうか。ただ一般的な黄色い菜の花に比べると確かにどこか控えめです。

 遠目には真っ白に見えるその花も、近づいて見ると花びらの縁が薄っすらと紫がかっていて、上品な美しさを醸し出しています。小さなモンシロチョウのようにも見えますね。ダイコンの種類によって花びらの形や色が微妙に違います。

 ダイコンは食卓ではおなじみの根菜ですが、その葉も栄養豊富な緑菜です。でもお店で売られているダイコンには通常は葉が付いていません。もったいないですね。直売所などで葉付きダイコンを見かけたらラッキー。ぜひ買ってみてください。葉の部分はすぐに切り離して調理するのが秘訣です。