サツマイモ収穫

今年は10月に入ってもまだまだ暑い日が続いていて、焼き芋が恋しくなるのはまだまだ先になりそうですが、収穫は今がピークです。写真は収穫したばかりの紅はるかです。大きさがつかみにくいかもしれませんが、中央の一番長く見える芋の長さが大体30センチぐらい。今年はかなり成長がよく、大きめで多収、豊作でした。天候不順の夏でしたが、さすがは過去何度となく飢饉や食糧難を救ってきたサツマイモ。天候の影響を受けにくい、ありがたい農作物です。

川越と言えばサツマイモが有名ですが、現在はさほど生産量が多いわけではありません。江戸時代に三富(さんとめ)地区がサツマイモの生産地として開拓されましたが、現在もその名残を残しているのは三芳町です。武蔵野の広大な平地林と自然環境を生かしたサツマイモ生産が今も脈々と受け継がれています。

昭和のころまでは川越芋といえば主に紅赤という品種のことをさしていました。ホクホク系のサツマイモです。しかし紅赤は土を選び、しかも育てるのが難しくて収量も少ないことから、次第にすたれてしまいました。現在川越芋として出回っているのはほどんどが紅あずまです。紅あずまはホクホク感とねっとり感が程よく調和されていて甘みも強く、収量も多いことから今ではすっかり定番の品種となりました。ただ最近ではよりねっとり感が強く、より甘い品種がいくつも開発されています。紅はるかもそのひとつです。

我が農園では数年前まで紅赤を作っていました。そのころ川越市内で紅赤を作っていたのはほんの数軒しかありませんでした。川越芋の伝統を途切れさせないようにとの川越市からの要請で作っていたのですが、やはり生産を続けるのは難しく、結局やめてしまいました。今、川越市内で紅赤を作っている農家はほとんどなくなってしまったかもしれません。三芳町ではかろうじて数件の農家が今でも紅赤を生産し続けています。それらの農家さんには頭が下がります。

さて、品種に関わらず、収穫してすぐのサツマイモはあまり甘くありません。しばらく保存しておくと次第にでんぷんが糖化して甘くなっていきます。ただサツマイモは寒さに弱いため、保管には結構気を使います。冬を越すには保管用の設備も必要となりますから、我が農園のような設備のない零細な農家は年内に売りつくさなければなりません。

さあ、これからいよいよ本格的な焼き芋の季節を迎えます。みなさん、おいしいサツマイモをたくさん食べてくださいね。

野草の花(3)

野草の花シリーズ第3弾。黄色、赤ときたのでやはり青か。ということで青い花を探すと、ありました。ツユクサです。どこにでも生えているお馴染みの野草です。草刈りをして背の高い草がなくなると一面を覆いつくすように繁茂します。

花はとても小さく、数ミリ程度。でも写真のようにアップで見るとなかなか複雑な形をしていることがわかります。上方に青い2枚の花弁があり、その付け根から雄しべと雌しべが伸びています。雄しべは6本ですがその長さと形が3本、2本、1本という組み合わせで違っているのが凝っています。その背景にはもう1枚の白い花弁があります。

ツユクサの花は朝開いて午後にはしぼんでしまうそうです。「そうです」という言い方をするのは自分で確認したことがないからです。朝顔のように大きな花であれば見てわかりますが、なにしろツユクサは小さい。しかもたくさんの花が常に咲いているので、今咲いている花が昨日と同じ花なのか違う花なのかわかりません。こんど目印でもつけて観察してみます。

このツユクサは万葉集にも詠まれているほど古くから親しまれてきた野草です。その花の儚さが日本人の心を揺さぶるのでしょうか。たくさんの花を付けた一面のツユクサを遠くから眺めると、まるで絨毯を敷いたようでなかなか美しい光景ですが、畑にとってはやはり雑草。退治しなければなりません。

 

野草の花(2)

写真はマルバルコウソウの花です。接写しているので大きく見えますが、実際には1センチにも満たない小さなラッパ型の花です。赤みがかった濃いオレンジ色で、葉の緑との対比がひときわ美しく、どこにでも生えている雑草でありながら、観葉植物として栽培する人もいるそうです。

その名の通りルコウソウの仲間で、ヒルガオ科サツマイモ属のツル性の植物です。ルコウソウは漢字で書くと縷紅草。縷というのは「糸のように細い」という意味で、その葉が細い針状なので付けられた名だそうです。葉が密生していると遠くからは霞がかかったように見え、レースのカーテンのような趣があるので、日よけとして栽培されることも多いそうです。そのルコウソウの一種で葉が丸いからマルバルコウソウ。なんだか自己矛盾ですね。「大きな小部屋」のような。

一斉に花が咲くときれいなのですが、雑草の例にもれず繁殖力は旺盛。ツル性なので何にでも絡みついて成長し、一面を覆いつくします。畑にとっては、見た目と違ってなかなか手強い相手です。

野草の花(1)

早いもので、9月も半ばとなりました。今年の夏は7月がほとんど雨ばかり、8月に入って猛暑続き、8月後半は台風が来たり、不安定な天候が続き、その状態が現在まで続いています。この数年、異常気象が常態化してしまっている感じです。温暖化の影響でしょうか。

畑の夏野菜も次第に元気がなくなってきて、季節の推移をうかがうことができます。相変わらず元気なのは雑草。自らの種を繁栄させるために活発に活動しています。夏の間、緑一色の雑草群の中でひときわ目立つきれいな花を咲かせているのがメマツヨイグサです。夏の間中花を咲かせて繁茂していましたが、そろそろ店じまいの時期になってきました。ところがこの時期になって成長してくる株もあって、写真のように花まで咲かせています。これも異常気象のせいでしょうか。

このメマツヨイグサですが、秋も深まると種を蒔き散らして枯れていきます。種はすぐに発芽して、ロゼット状態で越冬します。地面を這いつくばるようにして寒さをしのいだメマツヨイグサは、暖かくなると一気に成長しはじめ、あっという間に2メートル近い巨木になっていきます。花がきれいなのが救いではありますが、畑にとってはやっかいな雑草です。冬の間に根絶しておくしかありません。

水田の中干し

今年の梅雨は長かったですね。明けたのが7月下旬。この間、ほぼ毎日雨天が続きました。日照時間が極端に短く、稲作への影響も懸念されました。

稲作では真夏の一時期、意図的に水を枯らす中干しを行います。この地域では大体7月中旬ぐらいから下旬にかけて行いますが、今年は雨がずっと降っていたので中干しになりませんでした。水を堰き止めていても田んぼが乾かないのです。おまけに陽が照らないので、成長も今一。今年は凶作かと心配しましたが、8月に入ってからは打って変わって晴天続き。ようやく中干しができるようになり、成長も一気に進んできて、穂が出始めました。

この中干しですが、稲の根を活性化し、稲の倒伏防止の効果があるそうです。また土が固くなるので、田んぼに入って稗や粟などの雑草を取るのも楽になります。

9月に入ると緑の田園地帯は次第に黄金色へと変化していきます。9月も中旬になるとぼちぼち稲刈りも始まります。うちの田んぼでは毎年10月上旬に稲刈りをしています。新米の季節まであとわずか。猛烈な残暑が続いていますが、秋はもうすぐそこまで来ています。暑いのはうんざりですが、一方で夏の終わりというのは何となく物寂しくなりますね。

ジャガイモの実

そろそろジャガイモ収穫の季節です。今年は連休明けに遅霜に襲われました。4月の遅霜はさほど珍しくはないのですが、5月に入ってからの遅霜は初めて体験しました。かなり葉が枯れてしまったので心配でしたが、その後そこそこ回復はしました。芋にどの程度影響が出るか、それでも不安は残ります。

ジャガイモはナス科ナス属の植物です。ちょっと意外かもしれませんが、トマトやナスの仲間なんですね。それは花を見ると納得します。ナスの花にそっくりですから。実もつけます。すぐに落ちてしまうのであまり見かける機会は多くありませんが、小さなトマトのような実です。完熟すると種もできます。農作業では種芋を蒔いて育てますが、種からでも育てることができるそうです。品種改良は種を使ってやっているんですね。

少し前まで花が満開でしたが、今はすっかり落ちてしまいました。しばらくすると葉が枯れてきます。その頃になると地下で芋が膨らんでいて、いよいよ収穫。新ジャガの季節到来です。楽しみですね。

稲の苗

今まで話題にしたことがありませんでしたが、実は稲作もやっています。売るためではなく、自家用です。畑の地主さんから約1反の田んぼを借りて、見よう見まねで作っています。やり始めて5年目ですので、まだまだ初心者です。稲作の専門家からすればとんでもないやり方をしているかもしれませんが、それでも毎年美味しいお米がとれます。

田んぼの片隅に写真のような苗床を作って育てているのですが、5月初旬に蒔いた稲の苗が今青々と育っています。昨年はコシヒカリを作りましたが、今年は地元埼玉の「彩のきずな」を蒔いてみました。昨年特Aを取った埼玉自慢の品種です。

ほかの地域ではすでに田植えが終わっているところが多いと思いますが、このあたりは川越の中でも特に遅い地域です。これからこの一帯の田んぼには次々と水が入れられますが、田んぼが水で満たされると田園の風景は一変します。入れたばかりの水は澄んでいて、空や周辺の風景を鏡のようにきれいに映し出します。1年中でもっとも美しい光景が見られる時期です。それもほんの一時だけ。

さあ、今年はどんなお米がとれることか、今から楽しみです。

春菊の花

今春菊の花が満開です。名前の通りキク科の植物で、春に花が咲くから春菊。当たり前過ぎて何とも面白味のない名前ですが、あの独特の香りと苦味は格別です。お鍋料理には欠かせません。天ぷらにしても最高です。ほかの野菜には置き換えることのできない食材です。意外に知られていませんが生食することもできます。

春菊は家庭菜園向きの植物で、秋にプランターに種を蒔いておけば冬のあいだ中食べることができます。寒さにはあまり強くないので、霜の当たるところには置かないほうがいいでしょう。摘むときは株ごと引っこ抜かずに、生え際から数センチぐらい残して上を切り取ります。そのまま放置しておくと株元からまた葉が伸びてきます。大きくなってきたらまた切り取って食べます。採りたての新鮮な春菊はぜひ生サラダで食べてみてください。おいしいですよ。

こうして冬のあいだ食して楽しんだ春菊をそのまま育てていると、やがて写真のようなきれいな花が咲きます。食べて楽しみ、眺めて楽しむ。最高の野菜ではありませんか。

 

平成の終わりと万葉

今日は平成31年4月29日。明日で平成が終わりです。明後日からは令和という新しい元号の時代がスタートします。時間は区切りなどなく昨日から今日、今日から明日へと続くだけですが、呼び名が変わるだけで不思議と気分が変わる気がします。これがまさに改元の効果でしょう。

さて我が農園も改元で何が変わるわけでもありませんが、季節の推移だけは確実に変化をもたらしています。今、藤の花が満開です。といってもお隣さんの畑です。

新元号の「令和」が万葉集から取られたことが話題になりましたが、万葉集には様々な植物が詠まれていて、当時の人々が愛していた植物を知ることができます。藤の花を読んだ歌は26首あるそうです。万葉集には全部で4500首を超える歌が収録されていますから、26首が多いのか少ないのかわかりませんが、数えた人がいるんですね。

藤の花の色、紫は高貴な色として知られていますが、紫で思い出すのは紫式部。彼女は藤の花をことのほか愛したそうです。源氏物語でも「藤壺」「紫の上」など重要人物の名前として使われています。

毎年楽しませてくれるこのお隣さんの藤ですが、これを眺めながら万葉集に思いを馳せたことは今日まで一度もありませんでした。これも改元の効果と言えるかもしれません。

寒い春

早いもので4月も後半に入りました。今年は3月がとても暖かかったのですが、その後、急に寒くなり、4月に入ってからは震えるような寒さが続いて、連日強風が吹き荒れ、まるで3月と4月が入れ替わってしまったかのような天気が続きました。

3月の暖かさにつられて例年よりも1週間ほど早く、3月16日にジャガイモの種芋を蒔きましたが、その後の寒さで一向に芽が出ませんでした。先週、ようやくいくつかの芽が出ていることを確認しましたが、これほど発芽まで時間がかかったことはありません。

せっかく顔を出した芽も、その直後の遅霜にやられてしまいました。写真のように黒ずんでしまったは遅霜にあたったからです。ほとんど芽が出ていなかったのが幸いして、大きな被害はありませんでした。皮肉なものです。

農業は天候の影響をもろに受けてしまうのでいつものことではありますが、本当に難しいものだなと思います。今週に入って本格的に暖かくなってきたのでもう大丈夫でしょう。このまま順調にいけば、6月下旬には芋が食べられそうです。